満員電車のリアル
朝、遅刻しそうな通学電車の中で、好きなキャラクターのことを考えていた。
成人向けゲームのヒロインの1人……
深夜アニメのキャラクター、有名RPGの精霊、購読する雑誌の連載作品の主人公などなど。
ふふふふふ。ケータイのフォルダの中には、彼女たちの画像がたくさんあるんだ。
これをみているだけで、満員電車の中でも時間を忘れられる。
毎朝、ものすごい混雑の中を三十分も揺られて、学校へ行く。
この子たちがいるなら、恋人なんていらないさ。
床下にため込んでいる貯金だって、リアル恋人ができたら、取られちまうんだろう。
ゲームやコミックスや、アニメグッズなら、たくさん買うさ。マイクロファイバータオル、家族には
「痛いよ、お兄ちゃん」
なんて言われたけど、これ触り心地最高なんだよなぁ。
タオルに印刷されたあの子の頭を撫でると……まるで本当に黒髪を触ってるかのような心地。
天にも登りそうだ。
はぁ、はぁ。
抱きしめて寝たい。
次は、どの子のグッズを買おうかな。
買いたいものリストは、更新されるばかり。
しまった!
いま、学校の最寄り駅を通り過ぎてしまった。
遅刻する。
あと一回遅刻したら、留年って言われていたのに。
床下の貯金の使い道は、買いたいものリストのグッズに、使えなくなってしまった。
#創作三題噺深夜の60分一本勝負
#創作三題噺深夜の60分一本勝負_20170119
「黒髪」「床下」「リスト」