文芸部の仲間
派手なカバンをさげて、家を出発した。よく部活のメンバーたちと遊んだ道だ。
彼らとはもう、連絡を取らなくなって、何年も経つ。別々の進路へ行って、その後成人式にも僕は行かなかった。
文芸部の友達とは、連絡を全く取らなくなった。書店へ行くことが好きなメンバーが多かったせいもあり、地元の大型百貨店のレストラン街の書店で、たまに見かけることはあった。まるでその書店はドラえもんの中に出てくる裏山のようだ。
放課後に、連れ立って書店に行って、ライトノベルの棚でべたべた喋ったことは、よく思い出す。なにを喋ったかは、忘れた。一緒に過ごしたことだけを覚えている。
その百貨店の近くの交差点で、小林を見かけた。
小林はその文芸部の仲間だったやつだ。作品を出したことが、一度もないやつだ。
提出したことがないだけで、書いていたんじゃないかと、最近は思った。
ただ、納得いく作品の出来ではなかったから、破ってゴミ箱に投げ入れていたんじゃないかと……。
交差点の向こう側にいて、僕からみて対角線の方へ渡っていった小林は、あの頃よりも美人だった。
お題:「小林」「裏山」「ゴミ箱」